war

フリーライターの吐きだめ

檸檬

物象や心情が過去形へと変わるとき、もっと爽やかな風が吹くような期待をしていたのに、いざ感じられたのは飲食店の裏側を通るときに感じるような生温くて居心地の悪い風だった。

華の金曜、久しぶりとも言えない浅草での久しぶりの再会は少しの緊張とそれを超える夏の暑さで身体が悲鳴を上げていた。

ついこの前行った浅草のおでん屋さん、店員さんに顔を覚えられていて少しだけ恥ずかしかったけど、それを勝る夏の暑さにハイボールを注文。久しぶりの再会を果たしたその人は、きちんと過去の人になっていて、もの凄く寂しかった。

閉店の早くなったホッピー通り、どんな情勢で世界が進もうが目の前に広がる全てに身体は支配されがちだから困る。中途半端に見えるスカイツリーは綺麗で切ない。

人は人に期待せずには生きられない生き物で、わたしは時々自分のいい加減さに半狂乱を起こしそうになるほど追い込まれる時がある。ちょっと色々考えすぎかもしれないけど、普段からよく考えがちだからお酒を飲むのかも。

わたしが喫煙を始めた事実を知らないあの人の幸せがどうか続きますようにと、心の底から祈れた今日は何より悲しくて、どうしようもなくて、今日だけは私は私を辞めたくなった。

消えかけの蝉の声が美しい、八月。

 

https://d-e-r-t-a.net/