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フリーライターの吐きだめ

目玉焼きとコーヒー牛乳

祖母が亡くなったと連絡が来たのは、祖父が亡くなってからひと月が経った頃だった。祖母はもう随分と前から苦しそうにしていた。お医者さんによると祖母は肺のひとつがもう機能していないらしかった。それでも耳だけは良くて、言葉を発するより前に耳を傾け、目や表情で言葉を返してくれた。入退院を繰り返す祖母の背中はどんどんと痩せ細っていって、最後に抱きしめた身体はものすごく小さかったのを思い出す。

幼い頃、祖母の家で泊まった日の朝はなぜかいつも早くに目が覚めてしまって、それでもそんな私よりも早くに起きている祖母の存在に、守られているような気がしてなんだか心強かった。出来立てのつやつやな目玉焼きとトースト、それから甘いコーヒー牛乳が祖母の家で食べる朝食の定番。妹とよく名前を間違ってはごめんねと笑いながら謝る祖母のことが大好きだった。

祖母がつくる豪華なおせち料理も、不安がる私の手を握ってくれる温かな掌も、感謝してもしきれないほどのありがとうを福岡に戻る新幹線の中で思い出す。生前最後に会えたなら、たくさんの感謝を伝えたかった。たくさんの幸せをありがとう。あちらではどうか、安らかに。