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フリーライターの吐きだめ

熱いキスをしよう

雨降りの最近、冬の雨につま先は冷えきってゴールドのバレエシューズは霞みだす。スキニーの裾が濡れてしまって、カウンターの下で裸足になって焼肉を食べた。金曜の夜、行き交う人々は疲れと安堵の表情を浮かべた人が多い。

昨日は久しぶりに自分の欲のための買い物をした。消耗品で買わなきゃいけないものを買い足すあれじゃなくて、なくてもいいけど欲しいものだ。フル装備した美容部員さんの眼差しを浴びながら歩くのはなかなか体力がいる。エスカレーター手前で渡されたリボン、GUCCIの新作パフュームが吹き付けられていて良い香りがした。

帰り道、いつもよりぐっと足取りが軽くてタッチアップしてもらった肌は初雪のよう。触れるとしっとりしていて、思わず口角が上がる。

帰宅後は洗いたての犬を抱きしめた。

「いい夫婦の日の日なのに入籍しないの」と聞くと、「なにを言ってんの」と笑いながらかわいいねと流された。常識人のこの人とは足して割ればちょうどいいかもしれない。そんなのつまらない。

足されたいなんて、2で割られたいなんて、思ったことは今まで1度もなくて、勝手にされてたまるかと叫び出しそうになる。

「いっそ連れ去ってほしいのにね」と朝焼けを待ちながら海を見た親友との日はわたしの残り火だ。