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フリーライターの吐きだめ

身じたく

私はよく寝惚ける、今朝もそうだった。何かがとにかく可笑しくて笑いながら起きたものだから、隣からどうしたのと驚いた声が聞こえたけれど頭がぼんやりして言葉にならなかった。少し微睡んでからキッチンへ向かって昨夜使った食器の洗い物をする、常温の水を飲んでからよく冷えた無調整豆乳を飲むのがマイブームで朝のルーティンになっている。

しばらくすると素晴らしく寝起きのいい人がやってきて、私が洗った食器を拭き始める。私やるのにと鉄鍋を洗っていると、ふたりでした方がはやいでしょうと優しくたしなめられた。少し前に私がその人へ向けて言った言葉だ。朝の9時、近付く春が窓から陽射しを届けている。

家を出てから駅までは7分くらいで早歩きすれば5分もかからない、大きな交差点の角にはめちゃくちゃアットホームなセブンイレブンがあって最近はそこでアイスラテを買ってから職場へ向かう。ちなみにこのめちゃくちゃアットホームなセブンイレブンは例えるなら元気なお母ちゃんたちが賑やかに働いてる食堂みたいな感じで、行ってらっしゃいとか声を掛けてもらえたりするからちょっと泣きそうになる。

仕事は相変わらずで、昨日の夜に上司と口論したことを上司の方が気にしていてやたらと機嫌をとろうとしてきたのが気持ち悪かった。口論の訳は突然の異動と昇進の話で、名古屋で店長をやらないかなんてそんなふざけた話があるもんかとぶち切れた。所属することが安心につながる時代なんてすぐに終わる、というかもうすでに終わりは見え始めてる。組織はこわい、自分の身は自分で守るしかない。

連日ミスが続いてる先輩の様子はいよいよ本格的におかしくなり始めていて、恐る恐る横目で先輩をみると口角は下がり切って目も澱んで死んでたからもう本当にダメなんだろうなと思った。完全に組織に利用された人間の末路だ。

1時間の休憩、最近はお昼にゆで卵を食べる生活を続けている。少し前にしたゆる断食生活を経てわたしの身体は変わり続けていて、質の悪い糖(コンビニのパン、おにぎり等)を摂取すると途端にお腹が痛くなったり、大好きなコーヒーも2杯以上飲むとカフェインの取り過ぎで具合が悪くなる。医療従事者(プロ)によると、身体が正常に戻っている証拠らしい。だから良いこともたくさんあって、嗅覚や味覚が敏感になって本当に美味しいものはより美味しく味わうことが出来るようにもなった。お弁当にしなさいと持たされた昨夜のご飯はひじき煮とかじきの炊き込みご飯で、わたし多分いま誰よりも幸せだ。

遅番のメンバーは仕事のできるヤング層で、アダルト層の最近のやらかしについてぶちまけ合いながら店終いした。やってらんねえなあと笑いながら話すとやり切れない苛立ちも少しは紛れる、仕事が終わると堰を切ったようにみんな揃って口が悪くなるのでおもしろい。大量に残されたパッキンのゴミを見て、歳だけ一丁前にとってるだけの先輩にはなりたくないなと思う。はやく家へ帰ろう。

明かりの灯った家は今のわたしの元気の源だ。疲れたなんて滅多に言わない人が確定申告をようやく終えたらしく疲れたよと溢したから、なんだか少し安心した。私たちお疲れさまだ。夜ご飯にはパンパンに詰まったイカ飯(基本的に食べたいものを作ってくれるから感謝感激、ただイカ飯はないでしょう…と職場の先輩にドン引きされた)にかぶりつく、美味い。めちゃくちゃ美味い、肝が効いてる。初デートではハンバーガー屋さんを選んじゃいけないらしいけど、ジャンボなこのイカ飯にかぶりついてるところを見られたからもう何もこわいものはない。日々は続く、大口開けてイカ飯を頬張っているわたしもどうか愛してください。