war

フリーライターの吐きだめ

summer ghost

宝物みたいに繰り返し何度も聴いたあのデモテープは壊れたiPodの中に入っていて、今はもう聴けなくなった。明け方みた夢は、ひとりで座り込んで大泣きした夜の決意を簡単に打ち砕くようなもので、記憶と生きていくと歩いていたのに。大切にしていたあのデモ音源も、修理したらまた聴くことができるのだろうか。元に戻ればどんなにいいかと祈るように思うしか許されない。

SNSには、どうしてもネガティブなことを書きがちで、特にツイッターなんかは仕事の愚痴が大半だ。だからって日々に辛いことしかない訳じゃない。充実した日々や満たされた気持ちはお守りになって、自分の中に貯まっていくほどそれは生きていく力になる。

この前の休みは、夏祭りに行った。行ったというのは語弊があるな。偶然、夏祭りに通りかかったから参加してきたのが正しい。

夕方まで家でダラダラしていて、近所の熱帯魚屋へ魚を見に行ったときに、すれ違う子供が綿あめを持ってるのを見つけた。熱帯魚屋へ近付くにつれて浴衣を着た人が多くなり、祭りの音と出店の呼び込みが聞こえてきた。絶対に夏祭りやってるよと話すと行ってみようかと言われたけど、テンションが高いのは私だけで切なかった。

出店は思っていたよりもずっと長く続いていて、わたしは生ビールとたこ焼きを買って食べた。生ビールを買ったお店ではおまけに塩が効いただだちゃ豆をつまみにくれた。

人の波に沿ってずっと歩いていくと見たことのない道に出た。どこだろうねと言われて、とりあえず進めばそのうち分かるよと話した。

しばらく歩くと見たことのある道通りで、そのあとは迷わずに家にたどり着いた。雨に降られて髪は濡れていたし、屋台の煙たい匂いが身体に染み付いてた。

今はもうなくなってしまった神奈川の花火大会、あれはいつまでも私の夏だ。